ついに米を買う

ついについに! この日が来るなんて、正直、半ば諦めていたんだ。

そう、オイラたち最果ての貧乏人にとって、もはや伝説の食材と化していたものが、

この手の中にある!

政府発行の、ありがたき備蓄米さまだ。




思えば、あの大騒動の初期の頃はすごかった。

物資が滞り、店先に「米」の二文字が並ぶやいなや、珍しいもの見たさに、いや、

生きる本能に駆られて、あっという間に完売。

あの頃の活気(というか、殺気?)はすごかった。

でも、時代は動く。

いまや新しいコメが出回り始め、さらには「お米券」なんてものまで計画されている

らしい。市場は随分と落ち着きを取り戻してきたようだ。もう、開店前から並んで争奪戦、

なんてことはなくなったらしい。

しかし。市場は落ち着いても、オイラの生活はそうはいかない。

世間が新米に舌鼓を打とうと、オイラの懐事情は相変わらずだ。

店頭に並ぶ価格帯は三つ。

  • 5キロで4,000円。

  • 5キロで3,500円。

  • 5キロで2,000円。

貧乏四畳半生活を謳歌(?)しているオイラに、選択の余地などない。

もちろん、5キロ2,000円の一択だ!

これがどれだけ大きな差か、わかるかい?

もし、3,500円の米を買っていたとしたら、この1,500円は跡形もなく消えていた計算に

なる。それが浮いたんだ!

1,500円もあれば、いったいどれだけのインスタントラーメンを食べられるだろうか?

…計算するまでもないね。チャーシュー麺にグレードアップしたとしても、

大満足のお腹と心が手に入る。

この安価な米を購入できたという、ささやかな、されど確かな喜びに今、どっぷりと

浸っている最中だ。背中にしょったリュックの重みが、こんなにも心地よく感じたのは

久しぶりだよ。

今夜はぐっと我慢。米びつにそっと移し替えたその一粒一粒を、まるで宝石でも

見るかのように眺める。

そして、明日の朝。

あの、炊きたての御飯が、この四畳半の小さな食卓に並ぶんだ。

湯気が立ち上り、鼻腔をくすぐる、あの芳醇な香り。醤油もいらない。

ただ塩むすびにしたって、きっと涙が出るほどうまい。

うううううっ……想像しただけで、もう胸が熱くなってくる!

明日の朝ごはんのために、今日はぐっすり眠ることにしよう。



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