狭い四畳半の部屋に、ようやく和の香りが漂う朝がやってきた。
和食といっても、並ぶのは炊きたてのご飯と味噌汁だけ。けれど、これだけでいい。
いや、これがいいのだ。長く続いた麺類やパン類のみの生活から、私はついに解放された。
政府による備蓄米の放出が始まってから七ヶ月。
この最果ての地にも、ようやくその恩恵が届いた。以前にもチャンスはあったらしいが、
オイラの手元にはなかなか回ってこなかった。かつては売り出しから一時間も経たずに
消えてしまうほどの人気ぶりで、気づいたときにはいつも在庫切れの文字を眺めるのが
オチだった。ブームが落ち着きを見せ、終焉に近づいた今だからこそ、ようやくオイラは
備蓄米に会うことができたのだ。会いたかったのだ。
一袋四千円もする新米には、最初から目もくれなかった。
正直に言えば、貧乏な私には買う権利さえなかったのだ。私はただひたすらに、
この備蓄米がやってくるのをじっと待っていた。新米の半額で手に入る、
ありがたい備蓄米。
巷では備蓄米はまずいという噂も耳にする。
古古古米だろうが、さらに年月を重ねた古古古古古米だろうが、そんなことは関係ない。
価格の安さという圧倒的な事実の前に、味の妥協など造作もないことだ。
特にこの四畳半の暮らしにおいては、安くて腹一杯になればそれで正解なのだ。
もし、その上で美味かったとしたら、それはもう奇跡と言ってもいい。
さあ、炊飯器の蓋を開ければ、待ちに待った炊きたてご飯の登場だ。ご飯と味噌汁。
これぞ私の城における、定番中の定番。たったこれだけで、一食分の幸福感と満足感に
包まれる。コスパこそが正義なのだ。
とはいえ、毎回これだけでは少しばかり寂しいのも事実。時にはふりかけをパラリと
散らし、時には贅沢に卵を落としてTKG。そうやって安い組み合わせを試行錯誤
しながら、温かいご飯を慈しむ。
さて、今日はどんな相棒を選ぼうか。四畳半の狭い空間で、私の米事情は今、
無限の広がりを見せている。
コメント
コメントを投稿