「コメが恋しい。」
これは、今夜も夕食を前にした私の、魂の叫びだ。
それはまるで、遠い国へ旅立ってしまった**「白い恋人」**への、
切なくも真剣な独り言。
カレンダーには、はっきりと「節約」という名の鉄格子が引かれている。
この鉄格子がある限り、あの炊き立ての、ふっくらと輝く米粒の温もりを
味わうことは許されない。
白い湯気に包まれたその姿は、今や私にとって、手の届かない贅沢品となってしまった。
今日はパスタ
仕方ない。今夜の相棒は、決まって「パスタ」だ。
鍋で湯を沸かし、乾麺を無心に茹で上げる。茹で上がりのサインである、
あの独特の澱んだ湯気を見つめていると、少しだけ心が落ち着く。
そして、今日の主役。
アルミパウチに入ったレトルトのミートソースを、湯煎で温める。
湯から引き上げ、銀色の塊を皿のパスタの上に**「ぶっかける」**。
この瞬間だけは、なんだか私がこの食卓の絶対的な支配者になったような気がするのだ。
最近のレトルト食品は、実に気が利いている。
少し前までは、ミートソースと言えば「2人前」が主流で、
孤独な節約生活を送る私には、いつも半分残すか、無理して腹八分目を破るかの
二択だった。だが、最近は手のひらに収まる「1人前」のパッケージが、
ひょっこりと棚に並んでいる。
パッケージのサイズは半分。中身も半分。しかし、棚に並ぶ「価格」は変わらない。
「うむ。これもまた、時代の流れか」
私は一人納得し、この「1人前」をそっと買い物かごに滑り込ませる。
今日もパスタ。明日もパスタかもしれない。
この**「価格不変のパスタデー」**こそが、白い悪魔――
否、白い恋人との再会を早めてくれる唯一の道なのだ。
ミートソースの赤に、コメへの郷愁をそっと隠しながら、私はフォークを手に取る。
今日もパスタでご飯の節約なのだ。
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