炊飯器を開けると、温かな湯気とともに真っ白な米が顔を出した。
ごはんはある。しかし、見渡す限りオカズがない。
台所の隅、冷蔵庫の片隅をあさってみると、使いかけのハムのパックを見つけた。
そうだ、いいことを思いついた。海苔の代わりに、このハムでごはんを巻いて食べてみよう。
さっそく箸でハムを一枚剥がし、熱々のごはんに被せてみる。
口へ運ぶと、ハムの程よい塩気が米の甘みを引き立て、意外なほどによく合った。
これはいける。自画自賛しながら二口目に手を伸ばした。
だが、相手は安売りの超極薄ハムだ。
少し力を込めただけで、無残にも中心からぷつりと裂けてしまった。
破れた隙間から、バラバラとごはんが逃げ出していく。
「おっとっと、大事なごはん粒が……」
膝の上にこぼれそうになる粒を慌てて拾い上げながら、私はふふっと鼻で笑った。
ハムもなかなかやるもんだ。 そんな独り言が、誰もいない部屋に溶けていく。
これが、オイラの住む貧乏四畳半の、ありふれたごはんの風景だった。
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