お正月も近くなってきて

カレンダーが最後の一枚になり、世間が慌ただしくなってきた。 

そんな中、ニュースから流れてくるのは景気のいい話どころか、もちの価格高騰という

非情な現実だ。 金利が上がり、あらゆる食品の価格が跳ね上がり、あの令和の米騒動だって

まだ予断を許さない状況だというのに。

米の次はもちか。 主食界の連鎖的な値上げラッシュに、思わず天を仰いだ。

 お米の価格すら落ち着く気配がないこのご時世、正月を目前にしてこれはあまりにも

残酷な仕打ちではないか。

いくら孤独を愛するおひとり様であっても、正月に餅がないというのは、

どうにも耐えがたい寂しさがある。 出汁の染みた雑煮をすすり、力うどんを頬張り、

きなこをたっぷりまぶした餅に溺れたい。 ときには甘いぜんざい、鮮やかなずんだ餅、

そして定番の磯辺焼き。 私の脳内シミュレーションでは、すでに餅を中心とした豪華な

正月ラインナップが完成してしまっているのだ。

これらを諦めることなど、到底できそうにない。

 葛藤の末、私は財布の紐を思い切り緩め、今の自分にとっては大枚と言える金額を

はたいて、ついに餅を買い込んだ。 レジで支払いを済ませる瞬間は、正直に言って

泣きそうだった。

正月を前にして、私の懐事情はますます寒々しいものになってしまった。

 けれど、殺風景な四畳半の部屋に餅が鎮座しているのを見ると、現金なもので、

心の中には少しずつ年賀の気分が湧き上がってくる。



貧乏四畳半にやってきた、白くて四角い小さな贅沢。 これでなんとか、

無事に年を越せそうな気がしている。



コメント