手に入れたばかりの餅を眺めていると、正月まで取っておくという理性があっさりと
崩れ去った。 空腹という本能には抗えない。 私はおもむろに、戸棚の奥に隠しておいた
カップ麺を取り出した。
これから行うのは、貧乏四畳半における最大級の贅沢、餅のトッピングである。
お湯を沸かしている間に、貴重な餅をひとつ手に取る。
そのまま入れるには少しばかり時間がかかるから、あらかじめ別の器で
柔らかくしておくのが私の流儀だ。刻みネギとかまぼこも加える。
数分後、カップ麺の蓋を開けると、ジャンクな醤油の香りが一気に部屋に広がった。
そこに、熱を通した真っ白な餅を静かに沈める。 安価なカップ麺というキャンバスに、
突如として真珠のような輝きを放つ餅が鎮座した。
まさに、令和の食卓における奇跡のコラボレーションだ。
割り箸を割り、スープをたっぷりと吸った餅を持ち上げる。
重力に従ってとろりと伸びるその姿は、芸術作品のように美しい。
一口食べれば、麺のコシと餅の弾力が口の中で踊り、濃厚なスープがそれらをひとつに
まとめ上げる。
「……うまい」
思わず独り言が漏れた。 ただのカップ麺が、餅ひとつ加わるだけでこれほどまでに
重厚な一品に化けるとは。 大枚をはたいて買った甲斐があったというものだ。
外は寒く、懐も相変わらず冷え切っているけれど、胃袋の中には確かな熱が宿っている。
この一杯が、明日を生きる活力になる。
餅入りカップ麺という至高のメニューを堪能しながら、私は四畳半の城で小さく、
けれど深い充足感に浸るのだった。
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