大晦日の貧乏四畳半

 ついに大晦日の夜がやってきた。年末の大寒波とともに・・・

 窓の外からは時折、除夜の鐘の音が遠く響いてくるけれど、私の四畳半はいつも通りの

静寂に包まれている。

世間では豪華なオードブルや年越しそばに舌鼓を打っているのだろうが、こちらの食卓は

実に潔い。 今夜のメインイベントは、あの「大枚をはたいて買った餅」の最終決戦だ。

本当なら海老の天ぷらがのった蕎麦でも食べたいところだが、そんな余裕はどこにもない。

 私は迷わず安売りの袋麺を茹で、そこに最後の力を振り絞るようにして餅を二つ投入した。

 正月用に温存しておくつもりだったが、今日という特別な日に我慢をするのは、

この貧乏四畳半の城主にふさわしくない。

どんぶりの中で、熱々の麺ととろけるような餅が絡み合う。

 「年越し力うどん風きつねうどん」の完成だ。

 立ち上る湯気の向こう側で、餅がぷっくりと膨らんでいる。

 その白さは、この一年間の苦労をすべて包み込んでくれるかのように清らかに見えた。




テレビの音を消し、静かに麺をすする。 モチモチとした食感が口いっぱいに広がるたび、

寂しいはずの心がじんわりと温まっていく。 豪華な御馳走はなくとも、この四畳半に漂う

出汁の香りと餅の熱気があれば、それだけで十分な宴と言えるだろう。

財布の中身は底をつきかけているけれど、胃袋には確かな満足感が鎮座している。

 貧乏四畳半で迎える新しい年。

 餅の弾力に負けないくらい、粘り強く、しぶとく生きていこう。

そう決意したところで、私は最後の一口を噛みしめ、穏やかに年を越す準備を整えた。


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