窓の外は正月寒波とやらが吹き荒れている。最果ての地にある我が城、
家賃格安の四畳半アパートは、隙間風という名の天然エアコンが絶好調だ。
だが、今日の私は一味違う。新春の喜びにあやかって、
禁断の贅沢に手を染めることにした。そう、ぜんざいである。
本来、この慎ましくも狭苦しい四畳半に、ぜんざいなどという優雅な代物は似合わない。
しかし、今日は特別だ。しかも、ただのぜんざいではない。そこに餅を投入するという、
国家予算レベルの決断を下したのである。
もちろん、豆からコトコト煮出すような手間暇も、それに費やすガス代も我が家には
存在しない。手元にあるのは、昨年末の安売りの喧騒の中で勝ち取った市販の
レトルトパウチだ。
あの時、売り場の隣には「栗入り」という煌びやかな貴族向けぜんざいも並んでいた。
一瞬、指が震えた。だが、私は冷静に価格を比較し、あえてノーマルを選択したのだ。
なぜなら、私には「餅を自前で入れる」という密かな計画があったからである。
豪華な栗に惑わされず、安価なノーマルをカゴに入れた時の、あの勝利の笑み。
隣の栗入りを横目で見ながら、「ふふふ、君たちの負けだよ」と心の中でほくそ笑んだ
あの一幕は、今思い出しても胸が熱くなる。
さあ、いよいよ餅が焼き上がる。
熱々のぜんざいの海に、白く輝く餅が鎮座する。この餅のように、粘り強く、しぶとく。
私は今年の貧乏という名の強敵に勝負を挑み続けるつもりだ。
隙間風に震えながら、私は誓う。この四畳半を断固として維持し、
寒波にも不況にも負けず、この一年を乗り切ってみせると。
喉に餅を詰まらせないよう細心の注意を払いながら、私は新年の幕開けを五臓六腑で
感じている。
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