狭い四畳半の部屋で、今日も空腹と向き合っている。
私のこだわりは、焼きそばには粉末ソースがついていることだ。
カップ麺の焼きそばなら、お湯を捨てたあとにあの魔法の粉を振りかけるだけでいい。
かき混ぜれば、あっという間に麺が黒く染まり、完成の合図を送ってくれる。
市販のウスターソースを使うという手もあるが、あれはどうにもいけない。
麺がシャビシャビと水っぽくなってしまい、水分を飛ばすのに一苦労するのだ。
かといって、とんかつソースのような濃厚なものを常備する余裕はない。
とんかつなんて、この四畳半暮らしには贅沢すぎて滅多に口にできない代物だ。
主役のいないソースだけが冷蔵庫に居座るなんて、考えただけでも虚しい。
日々のローテーションを振り返ると、焼きそばの出番は意外と少ない。
ラーメン、うどん、そば。カップ麺から冷凍食品まで、世の中には手軽な麺類が
あふれかえっていて、焼きそばを食べる暇がないほどだ。
それに、焼きそばには「湯切り」という面倒なひと手間がある。
汁物と違って熱々をすすり込む感覚が薄いせいか、冬よりも夏から秋にかけての食べ物の
ような気がして、つい敬遠しがちだった。
そんな折、安売りの紅ショウガを見つけた。紅ショウガなら、たまに食べる博多風の
インスタントラーメンにも使える。これなら常備しておいても損はない。
この小さな出会いが、私を焼きそばへと向かわせた。
今回挑むのはカップ麺ではなく、袋に入ったインスタントの焼きそばだ。
中にはゆで麺と、私のお気に入りの粉末ソースが入っている。久しぶりの焼きそばだ。
今日は少しばかり奮発することに決めた。
まずはフライパンでキャベツを炒める。そこへ麺を投入し、小気味よい音を立てて
炒め合わせる。仕上げに粉末ソースをパラパラと振りかければ、食欲をそそる香ばしい
匂いが部屋いっぱいに広がった。
これだけではない。さらに目玉焼きを焼き、完成した麺の上にそっと乗せる。
最後に、買ってきたばかりの紅ショウガを脇に添えた。
四畳半の食卓に、ささやかな贅沢が完成した。
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