窓の外には、ただただ静かな海が広がっている。
最果ての地。そう形容するのが相応しいこの場所には、都会のような華やかさはない。
テレビをつければ、和牛の専門店だの、豪華なディナーブッフェだのといった特集が
流れてくるけれど、私にとっては遠い異国の出来事のように感じられる。
そこへ辿り着くまでに一体どれだけの時間を費やさなければならないか、想像するだけで
日が暮れてしまう。
この近所にあるのは、潮の香りが漂う小さなごはん屋くらいなものだ。
ナショナルチェーンの飲食店なんて、ここには一軒も存在しない。
吉野家も、かつやも、名前は知っていても実物は記憶の彼方にある。
なか卯が期間限定の安売りを始めるというニュースがスマホに届いても、
それを口にするためには、ちょっとした「大移動」を覚悟しなければならない。
たとえ半額になろうとも、移動にかかる労力とガソリン代を天秤に掛ければ、
全く割に合わないのだ。
けれど、不便さと飢えはイコールではない。
僻地であっても、地元のスーパーマーケットまで足を運べば、ナショナルチェーンが
世に送り出しているメジャーな食料品は手に入る。
ラーメンチェーン店がないのなら、自分で作ればいい。
今日の私は、即席麺を使ってチャーシューラーメンを作ることに決めた。
奮発して、一パック二百円もする立派なチャーシューを買い求める。
外食でラーメンを食べることを思えば、二百円の追加投資なんて安いものだ。
見栄えを整え、丁寧に盛り付けるにはそれなりの手間もお金もかかるけれど、
そうして完成した一杯を眺める時間は悪くない。
これは単なる食事ではなく、私の「完成作品」なのだ。
店の出す一杯に比べれば、どこか頼りなく、貧弱に見えるかもしれない。
それでも、波の音をスパイスにして啜るこのラーメンは、我が家における最高の
ごちそうなのだ。
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