インフレによる生活資金枯渇

外はひどく冷え込んでいる。強い寒気が居座っていると、テレビのニュースが繰り返し報じていた。暖房設備のないこの貧乏四畳半には、骨身にこたえる寒さだ。

部屋の空気も冷え切っているが、それ以上に私の財布の中身は冷え切っていた。止まらないインフレの波に押され、生活資金は底をつきかけている。ふと中を確認すれば、今月の残金はついに100円玉が数枚、合計しても1000円を切ってしまっていた。

月末までまだ10日余りある。今日から「1日100円生活」という過酷な戦いに突入しなければならない。

今の自分に何ができるだろうか。凍えるようなこの部屋で、せめて温かい何かが欲しかった。台所の隅を探り、以前買い置きしていたスープの素を見つけ出す。卵1個あれば2日分くらいは繋げるだろうと思って買っておいたものだ。これを使おう、と私は決めた。



さっそく調理に取りかかる。出来上がったスープからは、真っ白な湯気が立ち上った。器を両手で包み込むように持ち、熱い汁をすする。じんわりとしたぬくもりが、喉から胸へ、そして体の中へとゆっくり伝わっていく。

かさ増しのために白菜を多めに入れておいたので、ボリュームもそれなりにある。これなら腹持ちもよく、一石二鳥だ。 「これで明日も、なんとか持ちこたえられそうだな」 誰に聞かせるでもなく、私は独り言を漏らした。月末までの数日間は、このスープで凌ぐことになりそうだ。

外では吹雪いているのだろうか。ヒューヒューと冷たい風が吹きすさぶ音が聞こえてくる。寒気のせいか、窓ガラスがガタガタと頼りなく震えていた。

残ったスープは冷蔵庫にしまい、また明日温め直して食べることにする。ひとまずは、今夜の危機を乗り越えた。

明日は明日の風が吹く。その風が、せめて今度こそ冷たい風ではないことを祈るばかりだった。




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