おひとりさまの食パン事情

 コスパ。それは四畳半暮らしの私にとって、避けては通れない、そして抗えない魔法の言葉だ。

冷静に計算してみればわかる。お米を炊くより、食パンを買うほうが圧倒的に安上がりなのだ。でも、ここには「おひとりさまの胃袋」という大きな壁が立ちはだかっている。

スーパーの棚の前で私はいつも立ち尽くす。6枚入りや5枚入りの食パンを、この小さな胃袋がもてあますのは目に見えている。2枚入りや3枚入りも売ってはいるけれど、1枚あたりの単価を見た瞬間に手が止まる。結局、経済事情に負けて5枚入りをカゴに放り込んでしまうのがいつものパターンだ。

冷凍すればいいじゃない、なんて声も聞こえてきそうだけど、どうもあの解凍の加減が難しそうで敬遠してしまう。結局、鮮度が落ちる前に食べきるしかない。

というわけで、夜明けの四畳半。私は意を決して5枚入りの食パンに挑むことにした。

まずは王道のハムチーズトーストだ。パンにマヨネーズを塗り、ハムを敷いて、その上にとろけるチーズを贅沢に1枚。オーブントースターのチリチリという音を待ちわびる。



朝の光が差し込む部屋で、焼き立てを頬張る。コーヒーの香りに包まれて、体にエネルギーが充填されていく。よし、今日も一日頑張るぞ!

……なんて、気合を入れたのも束の間。

ふとテーブルを見ると、残りの食パンが4枚、静かにこちらを見つめている。昼もパン、夜もパン、そして明日の朝もパン。いやいや、無理だ。さすがに飽きる。せめて明日の朝くらいは、温かいご飯とお味噌汁の日本食にありつきたい。

そうなると、決着は今日中につけなければならない。

私は重大な決意とともに、昼食の献立を考え始めた。残り4枚。さて、この食パンたちをどうアレンジしてやろうか。

次はどんな風に食べてほしい? むむ……私の胃袋と想像力の戦いは、まだ始まったばかりだ。


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