カレンダーはもう3月。そろそろ春の足音が聞こえてきそうな時期なのに、スーパーの野菜売り場で僕の目に飛び込んできたのは、あろうことか「カボチャ」だった。
カボチャといえば冬至、つまり冬の真っ盛りが旬だと思い込んでいたんだけど、なぜかこの中途半端な時期に安売りされている。君、一体どこから来たの? 温室で大事に育てられた箱入り息子なのか、それとも実はカボチャって年中どこかに生息しているものなのか。
謎は深まるばかりだけど、まあ、安いは正義だ。細かいことは気にせず、カゴに放り込んで連れて帰ることにした。
さっそく煮物にして、おいしくいただこうじゃないか。
カボチャっていうのは素材自体がもう完成された甘さを持っているから、砂糖なんて野暮なものは使わない。みりん、酒、醤油、だしの素、そして水。これだけで十分だ。
ただ、最大の難敵はあの「皮」である。とにかく固い。包丁を入れるたびに、指を持っていかれないようこっちも必死だ。食べやすい大きさに切り分けるだけで、ちょっとした重労働。このハードルさえ超えれば、あとはもう勝ったも同然なんだけど。
火にかければ、思いのほか炊き上がりは早い。ここからは時間との勝負だ。
ちょっと油断して放置していると、カボチャの身が煮汁の中に溶け出して、せっかくの形がグダグダになってしまう。ホクホク感を残した絶妙なラインで火を止めるのが、僕に課せられた使命というやつだ。
さて、そろそろいいかな。湯気と一緒に立ち上がる甘い香りが、キッチンの空気を春から冬へと少しだけ引き戻した気がした。
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