ネギなしうどん

 検査まであと数日。 私の食卓は今、空前絶後の「白さ」を極めている。 

いわゆる低残渣食ってやつだ。 消化に悪いものは徹底的に排除。 

いつもなら彩り程度にパラパラ撒くネギさえ、今は禁断の果実に見える。

今日の献立は、うどん。 でも、ただのうどんじゃない。

 野菜一切なし、正真正銘の素うどんだ。

 正直、ネギくらいなら……という誘惑が頭をよぎる。

 今までだって「ネギくらいならセーフでしょ」と自分を甘やかしてきた。

 けど、今回は違う。

ここまでストイックに頑張ってきたんだから、ここで繊維質の塊

(大げさだけど今の私にはそう見える)

を投入して、今までの努力を台無しにするわけにはいかない。 

消化に悪いものは、たとえ薬味サイズでも我慢、我慢。

……とはいえ。 人間、そこまで聖人君子にはなれない。 

キッチンを物色していたら、視線の先に「乾燥お揚げ様」が鎮座していた。 最後の1枚。

 これ、検査後まで取っておくなんて、そんな殺生なことはできない。 

忍びなさすぎる。 幸い、検査当日まではまだ数日の猶予がある。 

今日くらい、少しだけ自分を甘やかしてもバチは当たらないはずだ。

 明日からまた、豆腐のような心で過ごせばいいんだから。

そんなわけで、完成したのは「ネギなし・お揚げあり」の特製うどん。

 彩りが寂しかったので、低残渣食的にはOKらしい「かまぼこ」を一切れ添えてみた。

 真っ白な麺の海に、ほんのりピンクのかまぼこと、出汁を吸ってじゅわっとしたお揚げ。

 ネギの緑がないのは寂しいけれど、このお揚げさえあれば、私は明日も頑張れる。

ごめんねネギ、また検査が終わったら会おう。

 今は、この一枚のお揚げに全信頼を寄せて、いただきます。



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