三月の風が隙間風となって、オイラの城である四畳半に容赦なく吹き込んでくる。 万年床の上で丸まっていても腹は減るもんだ。
さっきコンビニの棚で見つけちまったんだよ。「豚汁の素」なんていう、オイラみたいな底辺住人の味方みたいな代物をさ。
中を覗けば、大根に人参、ごぼうにこんにゃく。ご丁寧に水煮になってやがる。 これをイチから揃えてみろよ。スーパーの野菜売り場でカゴを持ったまま、計算機を叩く前から絶望するのがオチだ。 ごぼう一本買ったって、この四畳半のどこに置くんだって話だしな。 それが袋に詰まって百円ちょっと。まさに文明の利器、あるいは貧乏人の救世主ってやつだ。
足りないのは豚肉だけ。 だが、あいにくオイラの財布には、肉を踊らせるほどの小銭は入ってねえ。
まあ、いいさ。 この「素」を鍋にぶちまけて、味噌さえ溶かせば、気分だけは豪華な晩餐だ。 肉のない豚汁。それを世間じゃ「ただの野菜汁」と呼ぶのかもしれないが、オイラにとっては立派なご馳走なんだよ。
さっそく、ガタのきたガスコンロに火をつけた。 アルミの鍋がシュンシュンと鳴き始める。 今夜はこいつで、芯まで冷え切った身体を温めてやるとするかな。
次の日、余った豚汁の素へ待望の豚小間肉を放り込んだ。これだけでも立派に豚汁だ。
しかし昨夜に野菜類を食べたものだから具が寂しい。そこで厚揚げを投入した。
これで立派に豚汁の完成なのだああああああ!
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