外は雨。この四畳半の部屋に響く雨音を聞きながら、オイラはどんぶりを
前にして、ちょっとした達成感に浸っている。
今日の主役はインスタントラーメンだ。だけど、ただのラーメンじゃない。
どんぶりの表面を埋め尽くしているのは、あの希少価値のチャーシューだ。
最近、世の中は値上げの嵐だよな。スーパーの肉コーナーを覗いても、
チャーシューなんて今や高嶺の花だ。
一切れ口に入れるだけで、財布の小銭がチャリンと音を立てて消えていくような
気がして、なかなか手が出せない。
ところがだ。オイラ、見つけちゃったんだよ。
ある小さな店だけは、まるで時が止まったみたいに、昔のままの価格で
最高のチャーシューを出し続けている。
ただ、問題がひとつ。その店、笑っちゃうくらい遠いんだよな。
電車を乗り継いで、そこからさらに歩く。
ガソリン代や運賃を考えたら、結局高い買い物になっちまう。
だから、何かのついででもない限り、絶対に手に入らない。
今日はたまたま近くまで行く用事があって、ようやく数ヶ月ぶりにゲットできた。
まさに、オイラにとっての宝探しみたいなもんだ。
鍋で麺を茹で、粉末スープを溶かす。
そこへ、大事に持ち帰ったチャーシューを贅沢に並べる。
熱いスープに触れて、脂がじわっと溶け出す瞬間のあの匂い。
これだけで、このボロアパートが三ツ星レストランに見えてくるから
不思議なもんだよ。
箸で一枚持ち上げると、ずっしり重い。一口かじれば、醤油の香ばしさと
肉の旨味が口いっぱいに広がる。遠路はるばる買いに行った苦労が、
一瞬で溶けていくようだ。
四畳半の狭い空間で、ズルズルと麺をすする。
外の雨音も、今は心地いいBGMに聞こえる。
さて、残りのチャーシューは明日の朝飯にとっておこうか、
それとも勢いで全部いっちゃうか。それが今、オイラが抱えている世界で
一番贅沢な悩みだ。
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