壁の薄いこの部屋で、腹の虫を鳴らしながら今日を生きるオイラだ。
スーパーの隅っこで、ちんまりと並んでた安い小かぶ。それと、お隣さんからお裾分けでもらったみかん。こいつらを見つめてたら、ふと思いついちまったんだ。
煮物や味噌汁じゃ芸がない。このみかんを使って、蕪の酢漬けってやつを作ってみようじゃないかと。
普通の酢だけで作るより、柑橘の力でまろやかになるはず。いや、絶対になる。初めての挑戦だけど、まあ、なんとかなるだろう。
まずは下ごしらえだ。こぶし大の蕪をどう切るか。短冊もいいが、今回は薄切りに決めた。みかんの風味をさっと染み込ませたいからな。
皮をむいて、塩もみ。こうすると水分が抜けて、味が入りやすくなるってどっかで聞いた気がする。
次は主役のみかんだ。皮を剥こうとしたら、これが意外と分厚い。細く刻んで彩りにしよう。実は絞るのが面倒……いや、贅沢にそのまま放り込んでやる。実入りの甘酢漬けなんて、なんだか高級料亭みたいじゃないか。
蕪、みかんの皮、そして実。そこに砂糖と穀物酢をドバッとかけて完成だ。
あとは冷蔵庫で一晩眠らせる。酢の角が取れるのを待つ間、オイラもこの逸る気持ちを落ち着かせなきゃな。
……さて、待ちに待った次の日だ。
冷蔵庫を開けると、真っ白だった蕪がほんのり黄色に染まってやがる。この色がたまらない。
顔を近づければ、柑橘の爽やかな香りが鼻をくすぐって、胃袋が騒ぎ出す。
我慢できずに一枚。
口に入れると、最初は皮の苦みがほんの少し。だけどすぐに、みかんの甘みと酢の酸っぱさが混ざり合った汁が、じゅわっと口いっぱいに広がった。
おおおおおっ、んまいっ!
四畳半の食卓が、一気に華やいだ気分だ。
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